三人いるから

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 ある日の午後、天気予報の晴れ予想を裏切って激しい夕立が降り始めた。公園の中に駆けてくる人影がある。バタバタと中がくりぬかれたトンネルの形状をした遊具に入っていく。 「いや~、まさか雨降ると思ってなくて結構濡れちゃったよ」 「そんな時はいつもここに雨宿りに来るよね、ミコちゃんは」 「もう、また風邪引かないでよね、あんたのクシャミはうるさいんだから」 「大大丈夫だよ、私頑丈だから」 「ミコの自分に対する自信、それだけは見習わないとね」 「何よそれ~、人のことなんだと思ってんの」 「素敵な女の子に育って嬉しく思ってるよ」 「まあまあ、きっとこの降り方は夕立だからもうすぐ止むだろうしあと少し我慢しなよ」 「ミコちゃんの今日の髪型いつもと雰囲気違うね」 「あ~ん、最悪。せっかくセットしたのに髪ぐしょぐしょだ」 「朝あれだけ気合い入れてたのに残念だね」 「もう!なんか腹立ってきて何でもできる気分になってきた」 「ハハハ、それはいつものミコの気分でしょ」 「うるさいなー、もう決めた!このまま走って家に帰るから!」 「おっ、もうすぐ出られそうかな」 「もうちょっと待てば完全に止むと思うよ」 「ハイハイ、玄関開けて待っててね、ママ。じゃあね」  遊具から少女が一人出てきた。手に持った携帯電話をカバンの奥にしまいながら、そのままカバンを頭の上に持ち上げ家路に小走りに駆けだした。 ーーーーーパシャッーーーーーシャッーーーーーーーーーー  どこかの近くの家でカーテンが閉まる音がした。  空は暗く、雨はまだ降り続いていた。
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