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「ところで、葉くんってニューヨークで早川さんと会ったりした?」
嫌な奴の名前が出てきたなあ。
「少し前にライブハウスに出ていたのを見ましたよ。僕は演奏を聴いていないですし、会ってもいないですけど。演奏活動はしているんじゃないですか。興味ないですが」
言い方に悪意が混じり過ぎたのか、楓さんが目を瞬かせた。
「もしかして、早川さんと仲悪い? たしか葉くんって、早川さんの勤めていた塾の生徒だったんじゃなかったっけ。そんなことをマスターから聞いたような気がしたんだけど」
「そうですね。でも、僕はほぼ接点がなかったので、生徒というよりもただの知り合いみたいなものですよ。それにしても、世話になったマスターにも連絡を寄越さないなんて、薄情な人ですね。あの人」
「薄情かあ……。ま、確かに早川さんって、他人に無頓着なイメージはあるよね。店に戻ってきた頃は、昔に比べたらずっと人当たりが良くなっていたけど」
クスッと笑いながら楓さんは言うと、情報提供のお礼にとジンジャーエールの瓶を開けてくれた。
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