飛び入りセッション【二年前】

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「恋愛対象外ですか……。そういうのって、入らない人は一生入らないのか、何かのきっかけに変わることもあるのか、どっちなんですかね」 「何かのきっかけね。きっかけなんて、もうとっくの昔に逃していそう」  楓さんはそう言いながら、肩を竦めている。  僕はどうなんだろう。花名が先生と自然消滅するのを待っていれば、そういうチャンスも巡ってくるんだろうか。  先生に裏切られてあんなに泣いていた時でさえ、僕の手を取ってくれなかった花名だ。今、本気で気持ちをぶつければ、もう二度と会わないと言われるのは目に見えているんだよな。  まだもう少し、あと少しと僕はこの恋の期限を延長し続けている。延ばしたところで、見込みなんてなさそうなのに。 「葉!」  マスターが軽く手を挙げて、僕の名前を呼んだ。マスターの隣に立っている園原さんが少し首を伸ばして僕の方を見ている。 「あ、紹介してくれるんじゃない? 行ってきなよ」 「あ、はい」
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