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「はじめまして。相馬葉です。樫野さんのことは、園原さんからも先ほど連絡を頂いています。一緒に座らせて頂いてもいいですか?」
「もちろん! どうぞお座りください。相馬さんは花名ちゃんの同級生だったんですね。知らなかったので驚きました」
何かこそこそ喋っていると思ったら、花名は同級生だと僕のことを紹介したのか。間違いではないけど、ただの同級生と片付けられる関係でもないように思うんだけどな。僕とのことは何もなかったことにしたいんだろうか。
「ええ、高校からなので、結構付き合いは長いんですよ。ね、花名」
「……うん」
花名は話を振らないで欲しいというように、目を泳がせてしまっている。
「高校生の頃の花名ちゃんってどんな子だったんですか?」
樫野さんは、花名について知りたいのか興味津々という感じで訊いてくる。
「私に話しかけないでというオーラがすごいから、みんな遠巻きに見ているだけでしたね」
「そんなこと」
花名は誰とも喋らないと決めているみたいだったから、周囲にどう思われていたかなんて、知りもしなかったんだろうな。
「花名は知らないだろうけど、一部の男子に人気があったんだよ。謎めいているというか、何を考えているのかが全くわからなくて、ミステリアスだっていってさ」
「それじゃあ、花名ちゃんと相馬さんはどこで仲良くなったんですか?」
こういう話も僕は花名にしたことがなかったんだよな。花名は僕になんて興味がなかったから訊かれもしなかったし、僕と花名の話題と言ったら、学校の課題についてか、早川先生のことだけだったんだから。
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