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ギター④
「もちろん知っているさ。でも仲がいいんだからそのまま付き合っちゃいな。ねぇ、渚沙ちゃん」
「えっ!」
「潤さん!」
潤さんに冷やかされて俺と渚沙は声をあげては二人して顔を赤くしていると思う。
自分の顔が暑いのが分かる。渚沙は後ろにいるけどわざわざ渚沙の顔を見るために後ろを見る必要はないだろう。
逆に恥ずかしい。
「潤さん。その話は置いておいて」
「置いていいの?」
「いいんです! 今日は潤さんに相談しに来たんです!」
「恋の」
「違います!」
ニヤニヤしながらチャカしてくる潤さんにため息しながら相談事を話した。
「潤さんにギターを教わりたいんです」
「ギターを……。じゃあ、乗り越えたんだなぁ」
「乗り越えたと思います。せっかく俺にギターを教えてくれた兄さんは今はいないけど、俺ギターを続けてバンドを作りたいです」
「それは俺達みたいに?」
「はい。自分のバンドを作って演奏をしたい。演奏して昔、兄さんが言っていた演奏して見える景色を見たいし、演奏を空にいる兄さんに届けたいと思って」
「いいぜ。教えてやるよ」
「ありがとうございます、潤さん!」
「でも、全然弾けなくなった訳じゃあないんだろう?」
「はい。今でも弾けますよ、練習しているから。ただ不安というかこれでいいのかなって」
「それはこの音はこれであっているのかとか、指の押さえ方あっているのか自信がないみたいなもん?」
「そんな感じです」
「分かった。明日から早速やるか?」
「はい、お願いします!」
今日ここに来た目的はギターの弦を買いに来たのはもちろんだが潤さんにまた、ギターを教えて貰えないか相談したくってここに来たもんだ。
それに潤さんにまたギターを教えて貰いたいと思った。
これを言ったら恥ずかしいから潤さんには内緒だ。
「あの~」
「どうかした、渚沙?」
「もし、まだ時間があるなら少し教わっていけば?」
「えっ!」
「だってせっかく来たのに……あっ、楽器がないか!」
「楽器なら大丈夫だよ。ここは楽器のレンタルもやってるから」
「えっ、すごい!」
そう、ここは楽器のレンタルもやっているんだ。もし、楽器をやりたいけど自分の楽器を持っていない。あるいは、あるけど持ち運びが難しい等いろんな理由があるから、ここではスタジオを予約するのとプラスに楽器のレンタルもやっている。
ここまで楽器を弾く人の事を考えたお店はないと俺は思っている。
ついでに一階で楽器の手入れ、修理もやってくれる。ここのスタッフの人も何かしら楽器経験者や修理できる人が集まっている。
だから噂でここに来る人は多い。
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