お后様選び

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お后様選び

ここはとある国の宮殿。 突然前王が亡くなり、15歳という若さで王様の地位につくことに相成った王子。 この新しい王様は、容姿が少し変わっておられるだけでなく、 政治に関しても前王と比べて随分と劣っていたため、側近や家族以外からは 何もできないとバカにされていた。 自分に自信のなかった王は、(きさき)を選ぶことを拒み続けていたため、后がいない状態で王様になった。 だが、周囲の人間は跡継ぎを望み、まずは誰かを必ず選ぶように 必死に勧めた。 「この容姿が気にならぬ女などどこにおるというのだ…。」 今回も后の候補を集めるということに、なかなか許可を出さなかった王だったが、母上様や側近たちが、国のためにもと涙ながらに訴えるのでしぶしぶ受け入れた。 お后様になりたい女性は非常に多く、選ぶ際には候補者が描いた絵を見て決める、という伝統があった。 絵を見ると、描いた者のセンスや画力だけでなく、人柄や性格までもが伝わってくる。 お題はいつも王様が決めることになっている。 この若き王が出したお題は、「王の似顔絵」であった。 「はあ…、なるほど。どれほど勇ましい王、美しい王を描けるかということでございましょうか?素晴らしいお題でございます!」 「違う。」 「へ?」
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