結婚式と初夜

2/4
前へ
/13ページ
次へ
夜になった。 式のあとは宴会や、王族たちへの挨拶を、男女で別れて行う形であったので、 新しい王と后はまだ近くで顔を合わせていない。 王は緊張していた。 避けていたこともあり、母上様以外の女性と会うことがなかったため、上手く話せるか不安に思えてきた。 「もし后がここに来たら教えてくれ。」 と言い、ベッドに座り、カーテンに隠れた。 そんな時、 「お后様が来られたようです。」 扉の近くの一人が言う。 カコン、カコン、…。 ヒールで歩く音が響く。 「王様…。参りました。后でございます。」 おそるおそるカーテンの隙間から姿を覗く。 すると、想定外の美貌を持つ女性が立っている。 汗をダラダラ流す王。 こっそり側近に 「この者で間違いないのか?」と確かめる。 「間違いないはずですが…。」 側近たちまでもがあの絵からは考えられない、その美しさに驚いている。 「どうなさいますか?そのまま帰すのもよくないと思いますが。」 その言葉に納得した王は、 「とりあえず、朝まではそこにいるように。椅子などを準備させよう。」 と、遠くから后に声をかける。 「あの、何もなさらないのでしょうか。」 「……。」 「なぜあんな絵を描いた私をお選びに?」 「それは…。」 気になった后は、近くに行って話を聞こうとする。 ずっと顔を見せないことも気になる。 カコン、カコン、…。 「や、やめろ。来ない…で…。」 遅かった。 「どうかお顔をお見せください。開けてもよろしいでしょうか?」 「……。」 シャ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加