反抗戦

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 視界を潰しにかかる、猛烈なダイアモンドダスト。女アンドロイドも御玲(みれい)も光の粉塵によって見えなくなってしまうが、視界の端で血を滴らせながら俺の霊力で宙に浮いている金髪野郎が、今にも閉じてしまいそうな眼で俺を見てきたのが分かった。 「これが……年貢の納め時って……やつか……案外あっさり……してるもんだ……な」  ダラダラと流れる鮮血。体には風穴が空き、出血が止まる気配はない。馬鹿な俺でもコイツがもう長くないことなど、考えなくとも理解できた。  早く治療してやれよと思うかもしれない。俺に回復手段があればなんとかできたが、生憎回復なんてものには縁がない。俺には自前の再生能力があるからだ。  回復薬なんて持っていないし、持っているとしても御玲(みれい)ぐらいなものだ。その御玲(みれい)は今、女アンドロイドとともに金髪野郎が放ったダイアモンドダストの中にいた。 「俺はもう……だめだ……悪い……な……後は……頼んだ……ぜ……」  漫画で死にかけの奴が吐くような台詞。本来ならここで焦ってどうにかしてでも金髪野郎を助けようとするのがセオリーなんだろうが、俺は馬鹿にでもなったかのように落ち着いていた。助ける気もなく、どうにかしようという気も起こらない。  俺の脳裏にはずっと御玲(みれい)の姿が強烈に映し出されている。俺に他人を回復させる手段はない。腹を貫かれ、失血死寸前の金髪野郎にやってやれることなど、ただの一つしかなかった。 「ああ、任せろ」  俺は霊力を切った。霊力の支えを失ったことで、金髪野郎がどうなるかなど語るまでもない。一瞥すらせず、全ての意識を御玲(みれい)へと向けて、光の粉塵の中に突っ込む。  俺にとって誰が大事なのか。誰を助けるべきなのか。そんなものは、初めから分かり切っている。
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