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「そういえば、そうでしたね……」
「チッ、久三男からの連絡がない。アイツは何してんだ……」
「とりあえず、この技の効果が切れる前にどこかへ隠れましょう。話はそこで」
そうだな、と早々とその場を撤退する。
本日二度目の撤退。まさか再戦してまたこっぴどく負けるなんざ思ってなかったから、胸の奥底が異常なまでにざわついている。
やっぱり目測が甘かったのか。確かに勝算は薄い方だと思っていたが、だからといってじゃあ戦わない、逃げるとかいうアホみたいな選択肢が選べるわけがない。
戦うしか道はなかったわけだが、結局戦力が更に削げただけで、死に行ったようなものだ。最終決戦ぐらいの意気込みで臨んだだけに、間抜け感が否めない。
本来なら久三男から電子戦支援がくるはずだったのだが―――。
「いや……アイツのせいじゃねぇ。ここで手を抜くような無能なら、とっくの昔に殺してる」
苛立ちが際限なく溢れでて止まらない。危うく自分の中のルールを破るところだったと反省しながらも、俺は御玲とともに戦場を一時離脱したのだった。
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