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「でも……僕も流川の男だ。なすべきことを成せなかった以上、覚悟を決めよう……」
きちんとした理由はある。だがそれで許してくれる兄さんじゃない。僕はやると言った。兄さんはできなくてもいいと言っていたが、そんなのは言い訳だ。
僕が兄さんの立場だったら同じことを言うだろうし、なんなら昔、結果を出せなかったら無能みたいな、そんなことを言った気がする。
言葉を吐いた手前、ケジメをつけなきゃスジが通らない。流川家において、スジを通すことこそが漢の流儀だと母さんに教えられてきたからだ。
『久三男』
『ひゃい!?』
唐突の霊子通信。僕が構築した精神世界に、赤いオーラを漂わせた兄さんと御玲が姿を現す。
突然だったから変な声が出てしまったが、そんなことはすぐにどうでもよくなる。
『お前が奴の脳味噌をハッキングだかなんだかして、俺らを援護しつつ中核掌握するって手筈だったはずだが、何してた? 説明しろ』
『えっと……』
『あ?』
『ご、ごめん……ハッキングしてたんだけど、相手にバレたみたい。対策されて、干渉すら許してくれない状態なんだ……』
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