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こうなると、僕にできることはハッキング対策を掻い潜り、兄さんたちが有利に立ち回れるようにちくちくと嫌がらせしつつ、中枢に干渉してみるぐらいしかなくなるわけだが、致命的な問題が一つあった。
『戦力が足りない……よね』
兄さんも御玲も、その言葉に沈黙する。
戦略を変更しても依然として残る問題、それは絶望的な戦力不足である。
ヴァズは機体が壊れて修理しなきゃならないし、澄連は北支部防衛に参加。レク・ホーランは戦死、ブルー・ペグランタンは行方不明、弥平は任務請負官として今頃任務請負人を束ねてロボット軍団の迎撃している最中だ。
緊急時に呼び戻してしまうと戦線が崩壊する可能性があり、弥平に関しては責任追及の矢も飛んで、懲戒解雇させられる恐れもある。愚策でしかない。
『贅沢は言ってらんねぇ。俺たちでなんとか……』
『流石に無理があります。あなたの本気だって、ほとんど……』
御玲の指摘に、兄さんの怒りのボルテージが上昇する。
確かに、兄さんの攻撃は全部見切られていた。身体能力のリミッターを解除してなお、彼女にとって兄さんの存在など籠の鳥とでも言わんばかりに、余裕で。
戦力不足は承知の上、だったらいまある戦力でなんとかするしかない。それも一つの正論だろう。でも、それで勝てる相手なのか。そう問われれば、答えは分かり切っていた。
『だったらどうすりゃあ……!』
『では、私たちも出向きましょう』
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