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この日より、私は幼稚園にて黒い少年と一緒に過ごすようになった。話す内容は〈わかんない〉ばかりで、話に要領を得ないが一緒にいるだけで楽しい故に問題はない。会う時間も「休み時間」「帰りのバス」ぐらい、後はお昼寝の時間になると知らないうちに私の布団に入り込んできているぐらいだろうか、そして、昼寝が終わればフッと姿を消してしまう。
とにかく、私が一人の時にしか出てこないのだ。朝、私の家に起こしにくることもあったのだが、両親に紹介しようと部屋から居間に行くまでの間にスッと姿を消してしまう。トイレで用を足している時には隣にいることもあるし、後ろからドンと押されてズボンとパンツを濡らしてしまったこともあった。一人で風呂に入ってるといつの間にか風呂に入り込んでおり、一緒に体を流しあったこともあった。
これまでの話を考えると「イマジナリーフレンド」を心の中で作り上げてしまっただけに思えるかもしれないが、トイレの時に後ろから押された時も、体を流しあった時も、触られ触った感覚もキチンとあるし、覚えている。お昼寝の時に抱き合い手を繋いで寝たこともあったが、人の温かみと皮膚の感覚も存在していた。だから、イマジナリーフレンドを創り上げて自分一人で会話をしていたと言うことはない。
連日、黒い少年と交流を深めることで私は段々と人と接することに慣れてきてしまった。今にしてみれば、私の人見知りは治りの遅い長期の麻疹のようなものだったのかもしれない。
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