今に伝える始まりなれば!

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今に伝える始まりなれば!

「あんな吝嗇(ケチ)はぁ古今東西見た事わねぇ〜やさぁ!」 「吝嗇家(チョウドケチ)をとっくに()ってはや守銭奴ったらねぇ〜やぁさぁ〜!」 「しかしよぉ〜あんなに我滅(ガメ)ついったら、貯めた銭はどうするだぇぇ〜?」 「おおよぉ〜それそれ、我滅く貯めてもあの世にゃ持ち込めねぇ〜!」 「あの世にゃ行けねぇ、ありゃ〜地獄行きだぇ!」 「きっと三途の川でも渡し銭を吝嗇(ケチ)りやがるぞぅ〜たったの六文銭も惜しくてよぉ〜!」 「ワッチはぁ〜もうあんな守銭奴とは一切付き合わねぇ〜!」 「俺も金輪際付き合わねぇ〜あの吝嗇家(ドケチ)とはぁよぉ・・!」 憤懣やる方無い徒党連達・・口々に罵詈雑言を声高々に歩いて居なさる! そんな徒党連の横を通る二人の御老体! 「オオ、そこに通るは国芳に菊二郎・・おやまぁ〜可楽までも(ツル)みやがって!!」 一人は丁髷も、最早悔みでもしか言いようのない禿げ頭と坊主頭の御老体! 「あれあれ、「著作堂の親父さま」に「画狂の親父さまぁ〜!」 「まぁ聴いておくなさぃなぁ〜ましなぁ〜!」 見た目花魁と見間違う様な美形がいいよる! 「そうそう聴いておくんなぁ〜「山東京伝」の親父がょお〜「京伝勘定」等等と言い()りぃやがって、呑み代を均等割だて・・あの吝嗇家野郎(ドケチヤロウ)がぁ〜!」これまた侠客と見れる国芳。 「そう言うで無い、「京屋伝蔵」は決して吝嗇家(ドケチ)ではのうてぇなぁ〜!」悔み頭の著作堂親父。 「おおよぉ〜テメェラとても後で借りた貸したの大騒ぎ、それこそ見っとも無ねぇわぁさぁ〜!」と天下の大絵師画狂の親父殿! 憤懣やる方無い徒党達を諌めた二人は! 「しかし画狂さんやぁ〜山東京伝もあそこまで若輩者(バカモノ)に、専でいいのにのぅ〜」 「いやいや著作堂、山東京伝は根っからの女好き、今の女将も見受けしたばかり、(セン)の女将も亡くなったとは言え花魁からの見受けなれば、それも致し方が無いからのぅ〜」 「そりゃ見受けならば銭が幾ら有っても足らねぇわさぁ〜!画狂さんよぉ・・!」 御二方の御老体が諌めるのも耳を貸さない三人になりまする。 ☆出演 憤懣やる方無い徒党連 国芳を絵師・歌川国芳! 菊二郎を歌舞伎役者・二代目 尾上菊次郎! 可楽を落語家・初代三笑亭可楽! 憤懣やる方無い徒党連を諌める御老体二方 画狂の親父絵師・葛飾北斎! 著作堂の親父戯作者・曲亭馬琴! そして吝嗇家(ドケチ)・・山東京伝・・浮世絵師にて大戯作者になりまする! この山東京伝から始まり、現代でも残る事は「割り勘」で有ります。 一説には、金銭のもつれから仲間を失う事を避けるが為に考えたとも、はたまた根っからの女好きなれば、貯めた銭にて悪所(ヨシワラ)通いの為だとも・・それで思い付いた事が「京伝勘定・・割り勘」で有りまする! ー終焉ー スター名鑑の図 歌川国芳の図 二代目尾上菊二郎の図 初代三笑亭可楽の図 曲亭馬琴の図 葛飾北斎の図 そして・・吝嗇家(チョウドケチ)山東京伝の図 ー徒党連物草と終焉となりますー
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