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移動すれば少しは気分が変わるだろうか、そんなことを思いながら月島さんの先導で近くのカフェに入った。同じように雨宿りついでに来た人が多いのか、店内の席はほぼ埋まっている。
月島さんが窓際に空席を見つけて座り、メニューを広げた。
「何にする?」
「えっと……ホットのカフェラテで」
私は向かいの席に座りながら返した。
「分かった。私はチャイラテ」
近くにいた店員さんに声をかけ注文をした。
「何か慣れてるね。この店、前にも来たことあるの?」
「あるよ。たまに来るから。月一回ぐらいかな」
普段は一人でまったりしているという。一人でいるイメージがあまりないので意外だった。
「良いね。私はそういうの全然だよ。一人じゃなかなか店入れなくてさ」
「ありそう」
「ありそうじゃなくて本当に。女子っぽい」
「もう女子って歳じゃないけど」
「まあね」
「悲しいけど」
話していると、店員さんがカフェラテとチャイラテを持ってきた。
「「ありがとうございます」」
私と月島さんはそれぞれに礼を言って、それぞれに飲み始める。
しばらくは無言。飲みながら窓の先を眺める。
大雨ではなくなったけど、まだ少し降っているようで外を歩いている人はみんな傘を差している。
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