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「あれ実はいままでにも何回か忘れてんだよね。駅の待ち合いとかさ。すぐ気付いて戻るんだけど、きょうは気付かなかったな。ありがとう」
月島さんは言って笑った。
「大事にしてんだね」
「貰い物だから」
「……彼氏?」
「違うよ。妹。歳離れてんだけど初めてのバイト代で買ってくれてさ」
「そうなんだ」
そういえば妹がいるといつか言っていた気がする。
別々で住んでいるとはいえ、本当に失くしたり壊したりするのは嫌だという。
「優しいね」
「というか、怖いんだよ。知られたら何言われるか」
「強いんだ」
「どうだろうね」
苦笑と一緒に濁した。
きっと仲の良い姉妹なんだろう。
私はいま大きな思い入れはなしにしてビニール傘を使っているけど、月島さんと話すうちにもう一度お気に入りを見つけて大切にするのも良いと思い始めた。
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