詳細不明の彼

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他のリスナーが入ってくるまでは、Kを独り占めできる。 Kが自分だけに話しかけてくれるから、まるで恋人同士で電話してるみたいで、その時間が何よりも幸せだった。 この声を生で聴ける恋人はズルい。 と、いるかどうかもわからない恋人にまた嫉妬する。 Kに恋人の有無を聞けていないのは、「こいつ、ネット配信者相手にガチ恋してるよ」と思われたくないからだ。 まぁ、ガチ恋なんだけど。 “推し”という言葉をカモフラージュに使ってガチ恋してますけど。 会ったこともない人に恋するなんて、どうかしてるってわかってる。でも、初めて声を聞いた瞬間から好きになってしまった。 一目惚れならぬ、一聞惚れってやつだ。
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