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物心ついた頃から、僕は常に飢えていた。
僕は長い間、一筋の光も射し込まないように閉め切られた暗い部屋の中にいた。
優しい両親が時折食べ物を持って来てくれたけど、育ち盛りの僕には到底足りる量ではなかった。
お腹はちっとも満たされなくて、もっともっとと強請りたかったけど、ただありがとうと告げていた。
僕は両親を困らせたくなかったのだ。
食べ物を満足にくれなくても、僕は両親のことが好きだった。だから困らせたくなかった。
母さんも父さんも、僕みたいな子どもには勿体無いくらい優しかった。
僕は二人を愛していた。心の底から愛していた。
それでも僕は飢えていて、どうしようもなくお腹が空いていて、こう考えてしまうのが止められなかったんだ。
母さんと父さんを食べてしまえたら、どんなにいいだろうかと。
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