花たばこを吸う、わたし。

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 ……膝小僧に、おでこをゆっくり近づける。  こうやって小さくしゃがみ込む姿勢は、まるで……まるで、お腹の中の胎児の格好みたいだったけれど、わたしはそういうつもりでこんな姿勢になっているわけじゃなかった。  お母さんなんて、意味がない。  今までわたしの前に現れては消えていった、同級生や後輩や先生だって、彼らがかけていった私への言葉だって、……全部が意味のないものだ。  そこに、「本当のわたし」は存在しないのだから、何を言われたってされたって、意味がないんだ。  本当のわたしは、優等生でもなんでもない。  たばこは吸うし、ビールも飲む。  毎回信号無視をしてやるし、家出もする。  それに……爆弾魔。色んな人に、暴力的な衝動を抱いてる。  頭の中で、何回も何回も、繰り返してきた。  何回も何回も繰り返して……本当になるよう、本当ってことにしてもいいよねって思えるようにしてきた。  いや、「思えるようにしてきた」じゃなくて……そうなんだ。  わたし、わたしは……悪い子なんだ。  よくない人間。  そう、よくない人間だ。  膝小僧につけたおでこが、じわじわと熱を持ってくる。  頭がずしんと重くて、鼻がツンと突き刺さるように痛い。  ……たばこを吸い過ぎたのが、よくなかったのかな。  それとも、もっと、他の理由からかな。
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