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しばらくの沈黙が続いたあと、りょうが僕の肩をぽんと叩いた。
「…あま。行くぞ。」
そう言うと、肩を叩いた手で、僕の手首を掴んだ。
その手は強く、少し痛かった。
僕は引っ張られ、椅子から立ち上がった。
彼女が 待って、 と止める。
「天野くんをどうする気?まさか、本当にあんなことは…」
「関係ないだろ。これ以上、あまに近づくな。」
それだけを言うと、りょうは僕を引っ張りながら、店を後にした。
僕は一度も振り返らなかったし、りょうの顔を見ることも出来なかった。
店を出てしばらく歩いた。
そのときも、ずっとりょうに引っ張られてる感じだった。
ずんずん進んで行くりょうの背中を僕は見ることしか出来なかった。
あまりにもずっと引っ張られてるから、僕は周りの目も気になって、りょうに声をかける。
「りょ、りょう。その…」
言いかけた時、りょうが足を止めた。
いきなり止まったから、僕はりょうにぶつかりそうになった。
たどり着いた場所は、僕が 天野 仁 であることがバレた公園のベンチだった。
りょうは振り返って僕に抱きついた。
でも、僕は一気に彼女に見せられた写真を思い出して、とっさにりょうを突き飛ばした。
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