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第3話
「…あま、おいあま!」
りょうに呼ばれたことに気づいた僕は慌てて返事をする。
「なっ、なに?」
「あま、どうしたんだよ、何かあったのか?」
心配そうに顔を近づけてくるりょう。
僕は咄嗟に顔を背ける。
「別に、特に何も無いよ。」
「そうか、ならいいんだけど…」
りょうに顔を近づけられた僕は自分の顔が赤くなっていないか不安になった。
不安はもうひとつあった。
昨日のことを思い出しては、あの言葉が頭の中をぐるぐると回る。
ー同罪だったなんて…
僕の不安をよそに、りょうが話を続ける。
「でさ、あまと俺が住む部屋なんだけど、今週の土曜とか空いてる?」
僕は申し訳ない気持ちで言う。
「ごめん、土曜は無理かな。」
「…そっか、じゃあ月曜日に色々持ってくるよ。」
「わかった。ありがとう。」
今日は金曜日、また明日からの2日間りょうに会えないと思うだけで、寂しさを感じている自分がいた。
そして、りょうと過ごせたはずの時間が、恐ろしい時間になってしまったことに悲しんでいた。
チャイムがなり、先生が入って来た。
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