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念願(?)の恋人になった僕とりょうは、帰り道の電車は少しきまづい雰囲気が流れた。
駅に着き、さよならを言おうとしたとき、りょうに引き止められた。
「なぁ、あま。もし、良かったらだけど…」
そこで戸惑ったような素振りを見せた。
僕はそれを後押しするように声をかける。
「なに?僕とりょうにとって大事なこと?」
りょうが大きく頷く。
「俺と一緒に暮らさない?」
「は!?えっ、それって、ええっと…」
僕が明らかに動揺していると、りょうが続ける。
「寮に入ってるだろ?そこは2人部屋もあるから、そこなら一緒に暮らせるだろ?」
僕は、感動してついりょうの手を握ってしまった。
「いいのか!?」
「あっ、ああ。手続きとかは俺がやるから…あまは何もしなくていいよ。」
そういうりょうも、どこか照れていたような気がした。
つい手を握ってしまったことに気づいた僕は、ばっと手を離した。
りょうが誤魔化すように話す。
「じゃ、じゃあ、またなにかあれば言って。」
「あっ、ああ。わかった。」
「じゃあ…」
その場から去ろうとした時、またりょうに呼び止められる。
「明日もまた、話しかけてもいいか?」
「…うん。待ってる。」
そう言って、その場を離れた。
僕は心の底が暖かく感じた。
また唇を触り、あの時の事を思い出していた。
思い出すだけで、顔が熱くなる。
この思い出があの日の事件をかき消してくれるには、大きなものになった。
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