第2話 親友探し

3/4
前へ
/14ページ
次へ
念願(?)の恋人になった僕とりょうは、帰り道の電車は少しきまづい雰囲気が流れた。 駅に着き、さよならを言おうとしたとき、りょうに引き止められた。 「なぁ、あま。もし、良かったらだけど…」 そこで戸惑ったような素振りを見せた。 僕はそれを後押しするように声をかける。 「なに?僕とりょうにとって大事なこと?」 りょうが大きく頷く。 「俺と一緒に暮らさない?」 「は!?えっ、それって、ええっと…」 僕が明らかに動揺していると、りょうが続ける。 「寮に入ってるだろ?そこは2人部屋もあるから、そこなら一緒に暮らせるだろ?」 僕は、感動してついりょうの手を握ってしまった。 「いいのか!?」 「あっ、ああ。手続きとかは俺がやるから…あまは何もしなくていいよ。」 そういうりょうも、どこか照れていたような気がした。 つい手を握ってしまったことに気づいた僕は、ばっと手を離した。 りょうが誤魔化すように話す。 「じゃ、じゃあ、またなにかあれば言って。」 「あっ、ああ。わかった。」 「じゃあ…」 その場から去ろうとした時、またりょうに呼び止められる。 「明日もまた、話しかけてもいいか?」 「…うん。待ってる。」 そう言って、その場を離れた。 僕は心の底が暖かく感じた。 また唇を触り、あの時の事を思い出していた。 思い出すだけで、顔が熱くなる。 この思い出があの日の事件をかき消してくれるには、大きなものになった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加