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再会
彼女と再会したのは数日後の例の図書館だった。フロントの受付近くの階段から一階に上がった時、彼女と対面した。
彼女は少し驚いていた。これは予報できなかったのかもしれない。
あの時の事をきっと怒っているんだと僕は怖くて、その場で即座に謝れなかった。でも彼女はこの前みたいに、ただにっこりと笑っていた。また胸が苦しくなった。
「図書館よく来るの?」「たまに」僕は素っ気なく返答する。
僕の頭の中には彼女が予報者であることしか浮かんでこなかった。
「そっか」彼女は無理やり頬を上げた。
僕たちは天気・環境の場所分けされている場所にまた来ていた。そこで僕はあの本を探した。また羅列された文字の壁とにらめっこすることになる。すると顔に本が飛び出してきた。本にピントが合う。
「これでしょ。探してたの」彼女は何でも知っているかような顔で僕に例の本を渡してくれた。
「この前借りたんだ。よかったら貸してあげるよ」
「ありがとう。必ず返すよ」
お互いの表情が少し明るくなったのを確かに感じる。でもその後、彼女は少し深刻な顔をする
「おじいちゃんはその本を書いた年に失踪したの。ちょうど2年前の夏に、予報できたとき、やっと会えると思ったの。だから、何が何でも会いたいと思ったの。だからどうしても信じたかった。混乱させてごめん」彼女の表情は笑顔とは真逆で眼からは涙があふれていた。
「最初に探すと言ったのは僕だ。だから悪いのは僕のほうなんだ」
あの空洞感はどこかに行っていた。あるのは強い罪悪感だけ。
「でも、気象予報士になりたいのはほんとよ。この予報じゃなくて、天気をちゃんと考えて、予報できるようになりたい。それは信じて」手で涙を拭いながら、彼女は口をフグみたいに膨らませた。
「きっとなれるよ」
そして僕は笑った。
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