1 スカウトされました 

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 叔父さんが俺を見た。冗談めかしていない、真剣な声で言う。 「レオナルドさんの頼みなら断れない。カルロ、店の方は大丈夫だから、一週間ほど泊って来い」 「えええーー!」  信じられない思いで、俺は驚いてしまった。  ガガン! てっきり、止めてくれると思ったのに!  保護者の許可付きで、見知らぬ兄さんに身売りですか?  事の成り行きに、俺は思わず固まってしまった。  叔父さんが、レオナルドに向かってうやうやしく言う。 「うちの子に、ご子息の話し相手が務まるかどうか……。礼儀など何も知らない坊主ですが、どうかよろしくお願いします」  レオナルドが叔父さんに向かってお礼を言った。誰もを魅了する笑みで。  それから俺の肩を抱いて、抱き寄せると、耳元で囁いた。 「さぁ、とっとと荷物をまとめろ。私は車で待ってる」  うう、この兄さん、強引グ・マイウェー。  こんな人のところに預けられちゃって、俺は大丈夫なのかなー。    荷物をリュックに詰め込んで、俺が家を出ようとしたときだ。  叔母さんが、ぐいっと俺の袖を引っ張って引き留めた。
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