1 スカウトされました 

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 わ! 加速が普通の車と違う。こんな車に乗ったのは初めてだ。  見ると内装は皮張りの座席。ハンドルの前には赤くライトアップされる数々のメーター。輝く最新のナビゲーションシステム。  鍵穴に揺れるのは、赤い十字架に緑の蛇の模様の付いたキーリング。  あ、このキーリングのマークは見覚えがある。  イタリアの誇る国産車、アルファロメオだ。  しかも庶民の足より、数段レベルアップしたスポーツカータイプ。  あきれて、俺は思わず言ってしまった。 「こんな車で来るから、目をつけられて襲われるんだよ」  運転しているレオナルドが、笑いながら答える。 「はっはっは! 車は趣味なんだ」  はあぅ、こんな車を趣味で買う人種が、この世に存在してるんだ~。  今、左隣でハンドル握ってます……。  俺がちらっと彼を見ると、運転中のレオナルドが俺の視線に気が付いて不敵に笑い返した。そういう笑みを浮かべると、彼はますます男前度が上がる。  ひえぇ、カ、カッコイイーー!
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