2 貴族だなんて聞いてない

1/4
前へ
/102ページ
次へ

2 貴族だなんて聞いてない

 レオナルドの運転するアルファロメオは、なだらかな山道に入って、しばらく走ったあと門をくぐった。  脇に糸杉の生える車道を走っていると、一般にある、ごく普通の家が見えてきた。  俺はてっきりそこで車を止めるのかと思っていたら、レオナルドは目的地の家を前を、するするっと通りすぎた。  あれれ? 「さっき通り過ぎたのは違う家なの?」 「あれは離れの使用人の館だ。本館は別にある」  あっさりとレオナルドが答える。  この家がアレッサンドリの家だと思っていたんだけどな。  勘違い?  俺の頭の中は疑問符でイッパイ。  叔父さんのうやうやしい態度。  気軽に運転しているこの高級車。  玄関から車で走っても、家が見えない敷地の広さ。  使用人の館があるところ。  この兄さんって、俺が思っているよりお金持ちだったんだ……。  うっどうしよう。緊張してきた。  俺ってば、生活ランクの全く違う場所に飛びこんじゃったのか? いや、土地だけがあるっていう場合もあるし…。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加