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館の中に入ると、白いエプロンをした家政婦が待っていた。
清潔で優しそうな、年配の女性だ。微笑んでレオナルドを迎える。
彼女にレオナルドが声をかけた。
「ただいま。シモーナ」
「お帰りなさいまし。ご主人様」
「彼はカルロ。私を助けてくれた恩人だ。しばらくうちに滞在する」
「かしこまりました」
レオナルドは俺の方を振り向いて言った。
「生活の細かいことは家政婦のシモーナに聞いてくれ。じゃ、おやすみ!」
そして、彼は俺に手を振ってさっさと廊下で別れてしまった。
急に見知らぬ屋敷に置いてゆかれたので、俺はぽかんとしてしまった。
なんか、ずいぶんあっさりなんだな……。
息子さんのことを聞きたかったんだけど。
ま、明日の朝に聞けばいいか。
息子さんも朝食には来るよね。
レオナルドに向かって、俺はバイバイと手を振った。
でも、それが俺がレオナルドを見た最後だった。
別に死んだわけじゃないけど、ともかく彼とはしばらく会えなくなってしまったんだ……。
後から考えると、是が非でも引き留めておけば良かったなって思うんだけど。
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