ミラクルヘブン

１ スカウトされました

　俺の名前はカルロ。よろしく！
　イタリア・ローマ郊外の町に住む、ごく普通の中学生。

　ぴんぴんはねるくせ毛の、ショートカットの茶色の髪。大きめの緑の瞳。体つきは小柄で、顔はうっかりすると女の子に間違えられてしまう。

　背丈はちょっと小さめかな。
　でも元気と体力とすばしっこさなら、誰にも負けないよっ
　ケンカで負けたことないのが自慢！

　そんな俺が、不思議な親子とかかわることになっちゃった。その親子はとびっきり美形で、とびっきり奇妙なんだぜ。

　最初の舞台は、俺の叔父さんの定食屋だった。
　時期は夏。学校はもう夏休みで、時間は８時ごろ。
　安い・美味い・多いをモットーとするうちの店は、煉瓦としっくい作りのこじんまりした店で、毎晩お客さんで賑わう。夕飯どきは俺も店を手伝って、忙しく店内で働いていた。

　テーブルに出ていた皿を重ねて、洗い場に持ってゆこうとしたときだ。
いきなり後ろから誰かの腕が伸びて、がしっと頭を掴まれた。
　その人は大きな温かい手で、俺の髪の毛をくしやくしゃしてくる。