17人が本棚に入れています
本棚に追加
この人って雰囲気が人間離れしてるけど、ちゃんと人間の男性だよなぁ……?
思わず、じいっと彼を見つめてしまった。
時間を忘れてぼけっとしたように、目が離せない。
向こうも吸い込まれそうに澄んだ灰色の瞳で、不思議そうにこっちを見つめている。
しばらく見詰め合うだけで、俺はかぁっと顔が赤くなって、胸がドキドキするのを感じた。
あんまり見詰め合っているのも気恥ずかしいので、俺は何か話さねばと思って口を開いた。
「ごめん、ここ、気持ちよくて、寝入っちゃって」
そのとき起き上がった俺の体からさらっと一枚の布が落ちて、俺は自分に薄物がかけられていたことを知った。
寝ている間に、目の前の神父がかけてくれたんだろう。
あー、うちのおじちゃんなら叩き起こす。
ルカ兄ちゃんなら怒鳴って起こす。
やっぱり坊さんは違う、なんて、ちょっと優しさに感動した。
「祈りの邪魔しちゃって、ごめんなさい」
しかし俺が謝っても、返ってくるのは沈黙だった。
最初のコメントを投稿しよう!