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「あの、イタリア語分かる?」
思わず聞いてしまう。
彼はちょっと笑って、ふと俺から視線をそらすと、遠くを見ながら呟いた。涼やかな綺麗な声で。
「私は長く失われしものが、いま与えられたと知りました。満ちる時は来なくとも、渇きは癒される日は近いと」
「……は?」
その人の言葉は一応はイタリア語だった。
けれども俺は目をぱちくりしてしまった。
何? この天使、何言ってるの!?
困ったぞ。
外国語を言われたぐらい意味わかんないぞ。
もう一度聞こう。なにしろ会話が成り立たない。
「あの、もっと簡単に言ってくれないと、俺、言ってる意味がわからない……」
俺の心底困った顔を見ると、天使神父はちょっと眉根を寄せて、しばらく考えてから口を開いた。
「つまり、気にしてないということです」
「あー、そりゃ良かった」
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