17人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は笑顔になって、ひょいっと起きあがった。
ちょっとお互いにズレてる気もするけど、意志疎通は出来た。
「俺、カルロっていうの。丘のふもとの、定食屋の子だよ。あなたはここの通いの神父?」
「違います」
そっけないくらいに短い返事で返される。
俺は会話の続行を試みた。
「でもあなたが着てるの僧服でしょ?」
「これは趣味です」
「…………」
俺はまた沈黙してしまった。
趣味の服。
私服で神父コスプレ。
正式じゃないってことか?
内心首をかしげる。
謎がイッパイになった俺は、つい口に出した。
「でもあなた、神父みたいに見えるね」
青年が微笑みつつ、おっとりと答える。
「あなたは、ダヴィデのように見えますね」
「…………」
俺はまたまた沈黙して、首をひねってしまった。
はて。今のは褒められたのか、何なのかわからん。
今まで「チビ」だの「豆」だのはよく言われるが。
ダヴィデという表現は、いまだかつて受けたことがない。
最初のコメントを投稿しよう!