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「この池に魚が何匹いるか、わかりますか?」
そう言われてひょいと顔を向けて池を見ると、澄んだ水面がキラキラ輝いていた。
この人、なんだか意図が読めない……。
しかし白衣の神父は、俺を見つめて教師のように真面目な顔だ。
おいおい、いきなり禅問答ですか!?
池の魚の数? 20匹か、30匹か……。
うーん。
そんなの、わかりっこない。
よし、とんちにはとんちで返そう!
俺は起き上がって立つと、自信満々に答えた。
「全体の数はわかんないけど、池から5匹減らす事は出来るよ!」
言うが早いか、俺は池に向かって走り出す。
あずまやに立つ神父服姿の青年に向かって笑うと、遠くから叫んで手を振った。
「釣りしようってことーー!」
こんなこともあろうかと、前日に使用人屋敷からちゃーんと釣具を借りておいた。
準備万端、オレ!
池のほとりに二人で座った。
俺はルンルンと釣りの準備を始める。
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