1 スカウトされました 

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 思わず後ろを振り向くと、立っていたのは、モデルみたいないい体つきをした長身の男だった。年齢は30歳前後。仕立ての良さそうな白いシャツにジーンズ。    ゴージャスな長い黒の巻き毛に、りりしい眉、強く光る二つの瞳、くっきりとした顔立ち。  その飛び切りハンサムな顔には、表情豊かに、人懐こい笑みを浮かべている。  驚いた俺は思わず見とれてしまった。  わ、うちの店には似つかわしくない、華やかな人だなぁ。  ウインクするだけで女にもてそう。イイナ…。  その美形兄さんは、掴んだ俺の頭をわしわし、くしゃくしゃしながら聞いてきた。 「お前、ちびっこいのによく働くな~。年、いくつ?」  ちびっこいのは余計だけど、俺は即答した。 「13!」 「はは、そりゃ、まだちびっこいわけだ」 「もー、ちびっこいのは余計だってばぁ!」  ちなみに美形兄さん、酒くさい。  こりゃ、相当酔っ払ってるなー?  黒髪の美形兄さんは、厨房の方に向かって、のんびり声をかけた。 「なぁピエトロ。この子、俺にいくらで売ってくれる?」
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