4 あなたは天使で異星人

11/11
前へ
/102ページ
次へ
 釣竿を振って、俺は聞いてみた。 「悪魔に会ったことがあるの?」  青年はさらりと答えた。  顔に落ちてきた金髪をかきあげながら、優しく。 「ええ、ありますよ」  あってたまるか。  ああ、やっぱり天使は、一般人と脳の回路がひとつ違うんだ……。ずば抜けて綺麗な兄さんなのに、頭がパァだなんて可哀想。  レオナルドも常識やぶりの強引さだったけど、この神父よりはマシな気がする。現実を見るという点においては。  でも俺は、座って池を眺める彼の顔がすごく虚無的で、孤独そうなのに気が付いた。  まるで一人ぼっちでさ迷って、世界と戦っているような。  この人はこの人なりに、何か心に思いつめてることでも、あるのかも……。 「今度悪魔に会ってもさ、あんた、勝てるといいね」  俺が笑ってそう言うと、彼はふと目を和ませて微笑んだ。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加