5 天使の銃弾

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 彼に向かって駆け寄ると、驚いたように言われた。 「どうしてあなたがついて来るんですか!」 「だって、あなたがレオナルドの息子なんでしょ?」  俺の直感だった。  この人しかいないと思った。  レオナルドが大事にしている人。  天国のような庭で、守っている人。 「俺はその為に来たんだ! あなたの為に来いって、レオナルドが言ったんだよ!」  雨に打たれながら叫んでるうちに、俺はなぜだか泣きそうになった。  危なっかしいこの人を、このまま離しちゃいけないような気がした。 「……好きにしなさい」  青年は言い捨てると、俺を無視して走り出す。  俺はその影を追いかけるようにして、彼に付いて館を去った。
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