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厨房で働いているピエトロ叔父さんが、大笑いしながら答える声が聞こえた。
「はっはっは! そんなガキなら、いくらでもくれてやるよ!」
おおい、叔父さん!
子供だからって勝手に俺を無料にしないでくれ!
もぅ、俺ってばひどい言われっぷり。
美形兄さんは笑って満足したのか、俺の頭をぽんぽんと軽くたたいた。
「美味かったよ。ごちそうさん。じゃあな! 坊主!」
彼は多めのチップをテーブルに置くと、店を出ていった。
彼が帰ってすぐに、俺は厨房に走った。
忙しそうに皿の盛り付けをしている叔母さんに、こそっと聞いてみた。
「ね、あのお客さん、誰? 何なの?」
興味津々で聞いてしまう。
叔母さんは店の客に詳しい。常連のことなら大抵知っている。
叔母さんは料理を盛りながら答えた。
「あの方はアレッサンドリ家のレオナルドさんだよ。時々うちに食べにくるね」
それを言われて思い出した。
アレッサンドリ家なら見たことがある。
店から少し走った先は林になっていて、深い緑の中に一件の小さな家がぽつんと建っている。
確か、あれがアレッサンドリの家だって聞いた事がある。
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