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俺は不思議に思った。
「へぇ、自宅が近いのに、わざわざ店まで食べにくるんだ」
「お屋敷の食事じゃ、淋しいんだろうよ」
叔母さんは熱々の食事の盛られた器を、厨房からどんどん運び出す。
俺はその手伝いをしながら、まだ彼のことを考えていた。
ふーん。お屋敷というほどの立派な家じゃないけどな……。
ああ人気のない場所に一人で住んだら淋しいだろう。
また、来てくれるといいな。サービスするからさ。
そんなことを思いながら、俺は厨房のごみを袋にまとめた。
店の裏口を開けて、ごみ袋を抱えると外に出しに行った。
そのとき、人気のない道を歩いているレオナルドが、酔っ払いの足取りで車に向かうのが見えた。はた目にも酔っているとわかる、危なっかしい足取りだ。
あ、もしかして、酔っぱらったまま車を運転して帰る気かな。
それって飲酒運転っていうんだぞ?
いけないんだぞー。犯罪なんだぞー。
まぁ、あの緑の深い山道じゃ対向車はないから、平気だろうけどさぁ。
視線をゴミ箱に戻して、蓋をしめた時だ。
道の向こうで、男の大声で何かを問答する声が聞こえた。
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