17人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
顔をそちらに向けると、レオナルドが一人の身なりの悪い大男に絡まれていた。金品を脅されてるのか、背中を車に押しつけられている。
「レオナルドさん!」
声をあげると同時に、俺は彼らに向かって駆け出していた。
大男と、レオナルドの間に入ると、彼をかばうように両手を広げた。大男を正面から睨みつける。
大男は、近所に住むジュゼッペだった。
素行が悪くて、最近は無職で荒れている。
俺は威勢よく、大男に向かって叫んだ。
「ちょっとジュゼッペ! この人から盗るのは止めてよ! うちのお得意さんなんだから!」
「やかましい、ガキ! 引っ込んでろ!」
ジュゼッペが怒鳴り、ぶん、とうなりをあげて拳が飛んできた。
岩も砕きそうな拳。当たったらおしまいだ。
すかさず俺は軽く後ろに退いて、ギリギリのところで拳を避ける。
こりゃ、もう戦うしかない。
相手は2メートルありそうな大男。
俺は160センチもないチビッコ。
パワー差は歴然。
さぁ、どうする!
最初のコメントを投稿しよう!