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それから、レオナルドのところに駆け戻る。
俺が息を切らして、彼の前に立ったときに尋ねられた。
「彼と知り合いなのか?」
「あの、うちの真向かいに住んでる奴なの。後でよく言っておくから、警察沙汰にはしないでやって。あいつも近頃、職がなくてさー」
俺はそう言ってためらいながら、レオナルドの方を見た。
「その……こんな事があったけど、またうちの店に来てくれる?」
レオナルドはふと真面目な顔になって、じぃっと俺を見つめた。
黒い瞳。真っ直ぐな強い視線が俺を射抜くようだ。
妙に、胸がドキドキしてきた。
「さっきのはいいパンチだった。やっぱり気に入った。お前ならいける」
レオナルドがボクサーの勧誘みたいなことを言った。
はい?
パンチが気にいるってどういうこと?
俺は思わず、怪訝な顔で聞いちゃった。
「あのう、何がいけるって?」
「うちの息子の相手!」
レオナルドは顎に手を当て、うんうん、と一人納得してうなずく。
へぇ、この人には息子がいるんだ……。
いやちょっとマテー!
何で息子相手に腕力が必要なんだ?!
それってどんな乱暴者の息子なんだ?!
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