1 スカウトされました 

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 それから、レオナルドのところに駆け戻る。  俺が息を切らして、彼の前に立ったときに尋ねられた。 「彼と知り合いなのか?」 「あの、うちの真向かいに住んでる奴なの。後でよく言っておくから、警察沙汰にはしないでやって。あいつも近頃、職がなくてさー」  俺はそう言ってためらいながら、レオナルドの方を見た。 「その……こんな事があったけど、またうちの店に来てくれる?」  レオナルドはふと真面目な顔になって、じぃっと俺を見つめた。  黒い瞳。真っ直ぐな強い視線が俺を射抜くようだ。  妙に、胸がドキドキしてきた。 「さっきのはいいパンチだった。やっぱり気に入った。お前ならいける」    レオナルドがボクサーの勧誘みたいなことを言った。  はい?  パンチが気にいるってどういうこと?  俺は思わず、怪訝な顔で聞いちゃった。 「あのう、何がいけるって?」 「うちの息子の相手!」  レオナルドは顎に手を当て、うんうん、と一人納得してうなずく。  へぇ、この人には息子がいるんだ……。  いやちょっとマテー!  何で息子相手に腕力が必要なんだ?!  それってどんな乱暴者の息子なんだ?!
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