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「確かに諸国に出回っている一般的な歴史書ではそうでしょうね...実際トラウゴット教は建国の歴史と密接な関係があるのです、元々は神より遣わされた預言者様が虐げられた諸国の民を引き連れて誕生した国であり、聖マーシャの子孫を年月と共に民が『王となって欲しい』と望まれ王となったのです、その初代の王こそアーベル王です、それ以降は歴史書に書かれておりますので殿下はお分かりかと」  ヨアヒムはエマヌエーレに笑顔で丁寧に説明する。 「そうなのか」  ウルムにあるバーレ建国からの歴史は初代アーベルからしか教えられておらず、トラウゴット教と密接だというくらいしか知らなかったエマヌエーレはその話を興味深く聞く。 「ではバーレ王家から預言者が誕生するという事なのか?」 「そうとも限りません、聖ジョシュアや聖レヴィは元は羊飼いや葡萄農家ですからね」 「成程、では司祭長ヨアヒムの意見として聞きたいのだが、エステル王女は『預言者』なのだろうか?」 「はて、何故そう思うのですか?」
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