35人が本棚に入れています
本棚に追加
4
「昨日はフラウエン教会へ行きましたが、とても素晴らしいステンドグラスでしたね」
エマヌエーレは懲りもせずにエステル王女に会いに来た。
エステル王女は仕方なくエマヌエーレを王宮のテラスへ案内し、そこでメイドにエマヌエーレの用意したお土産を渡してお茶を出すのを依頼する。
今日はレモンパイをお土産に持ってきてだ、どうやらエステル王女はお菓子が本当に好きらしく、エマヌエーレが持ってきた物をその時のお茶菓子として出してぺろりと平らげてしまう程にである。
「司祭長ヨアヒムの話が長かったでしょ?司祭長ヨアヒムは語り出すと長いもの」
「いえ、とても勉強になりましたよ、トラウゴット教の事だけでなくバーレ建国の話など実に興味深い話ばかりでした...それに」
「それに???」
「あのステンドグラスの聖マーシャがエステル王女に似ていてずっと見つめてしまいました、可愛いらしいエステル王女を描いたのかと思うまでに」
「な!」
エマヌエーレの甘い言葉に、レモンパイを食べようとしたエステル王女は口を開けたまま、目を丸くして真っ赤になる。
最初のコメントを投稿しよう!