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エステル王女は美しい女性ではあるが、まだ年若い乙女らしさも見えてとても愛らしいと言う事をエマヌエーレは気がついていた。
笑顔も勿論だが、呆れる表情もあからさまに面倒臭がる表情もお菓子を美味しそうに食べる表情もだ。
エマヌエーレはここ数日会って分かった事だが、エステル王女は裏表の無い性格であり、どちらかと言うとお人好しで策士とは言い難いタイプである。
何故なら足繁く通うエマヌエーレを追い返すことも仮病もせずにこうやって毎回時間をとってくれる所から見てもだ。
「お...お世辞を言っても結婚は出来ないわよ!」
エステル王女はそう言ってレモンパイを口に運ぶととても美味しかったのか顔が綻ぶ。
このお菓子を食べる表情がなんとも小動物の様で可愛らしいのだ。
「そのお菓子を食べる表情もとても愛らしいですよ」
「むぐっ!」
その言葉に驚いて咽せそうになったエステル王女は紅茶を飲んで自身を落ち着かせる。
「私を可愛いとか愛らしいなんて言う人初めてだわ?」
「不思議ですね、こんなにも可愛いらしいのに」
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