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「ううう...なんでしつこく毎回やって来るのよぉ」
エステル王女は自室の天蓋付きのフカフカの大きなベッドの上で転がりただ悶えた。
積極的にやって来て口説く男エマヌエーレに心が傾きかけているのは自覚している。
そもそも絵姿を見た時点で良いな、とは思っていたのだ。
実際会った時その絵姿以上の美しい青年でときめいたのは確かだ...しかし何度見てもその横には未来のエマヌエーレの妻と子供達の姿が見えるのだ...その中にはエステル王女の姿は無い。
「...どんなに好きになっても、絶対に添い遂げる事が出来ないのに...」
枕に顔を沈めながらエステル王女はそう呟く。
そう...この『運命の相手』が見える力の所為でエステルは今まで恋というものをした事が無かった。
例えどんなに好みの男性だろうと、その相手が見えたなら一気に気持ちが冷めてしまうのだ。
ならばとエステル王女は余計な親切心というかお節介精神が生まれ、お見合い相手にその事を教えて、『運命の女性』と共になってもらう様に促した。
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