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 そうすればお見合い相手に対して未練を持たずに済んだから。  そうやって国内で何人もの貴族の子息と十歳の時からお見合いをしては相手の『運命の女性』の事を語り、場合によっては出会いの場すら作っていった結果、エステル王女にとって不本意だが、いつの間にか『仲人姫』と呼ばれる様になってしまったのだ。  そんな事を七年も続けた結果、大量のカップルを誕生させ国内に釣り合う相手が誰も居なくなってしまい、どうしたものかと頭を悩ませた父であるバーレ国王が、他国の貴族ならと北の大国ウルムの国王に相談した際に、ならばと第三王子のエマヌエーレをと勧めて来たのだ。  年齢は確かにエステル王女より十も上だが、エマヌエーレは母である正妃は有名な美姫で彼の美貌は母譲りであり、しかもウルム王族の色である白銀の髪とアクアマリンの様な瞳を持つ、驚くほど美しい青年である。  それでいて、背も高く軍に入って鍛えられた体躯、頭も良く術士の才能もあり、お見合い前に聞いた話では周囲にも人望が厚い点も魅力だ。
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