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 モンティ侯爵はエステル王女の母方の親族であり、三十五歳の金髪碧眼で貴公子っぽい見た目だが、いい歳して落ち着きなく女好きである事をその時感じ、後で調べたら離婚と再婚を何度も繰り返す、愛人も沢山いるろくでなしで『絶対無理』と言い切ったお見合い相手だ。  国内に同じくらいの年齢の未婚の貴族の子息がいなければ、もしかしたら死別や離縁などで独り身となった貴族の中に居るのでは?と思って何人かお見合いした一人である。  ちなみに大半は死別した奥様との絆の強さや、それこそ別の運命の相手が居た為に諦めたのだ。  ただしモンティ侯爵のような輩はより大きな権力を持てばろくな事にならず、王家には相応しく無いとエステルは判断した。  これで母方の親族の発言力ある貴族の一人で無ければばっさり切り捨てたい所だが、それをすれば国の政治バランスが崩れてしまう懸念もあった。 「今日もまた美しいですね」 「...ありがとうございます、急いでますので」  と直ぐにエマヌエーレの待つ客室へと進もうとしたら腕を掴まれ、人気の無い場所へ引きずられる。 「何でしょうか、私は貴方を招いた記憶は無いのですが」
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