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 夕食時にエステル王女は夜会のエスコート役をエマヌエーレにお願いした件を父であるバーレ国王に話すと、とても喜んで、是非そうするべきと話した。 「とうとうエステルも『運命の相手』が見つかったのだな」  そう微笑んだ父王、エステルは父によく似ており、若い時はとても人気だったと聞いている。  バーレ王家の色でもある緑色の髪と薄桃色の瞳の持ち主ではあるが、四十代半ばに差し掛かろうとしている為か髪に白いものがチラチラと見えるが美貌そのものは衰えてはいない。  ちなみに母である王妃は八年前に第二子を産むも産まれた子が死産だった事がショックだった事、そして産後の肥立ちが悪かった事など重なってその後一ヶ月しない内に亡くなってしまったのだ。  その後に家臣達が子がエステル王女だけでは不安と新たな妃を迎える事を強く勧められるも、バーレ国王は亡くなった王妃を深く愛しすぎており、新たな妃を迎える事をずっと拒んでいたためにエステル王女が王を継ぐ必要があるのだ。 「エマヌエーレ殿下は『運命の相手』ではありません、でも殿下がウルム国王になるのは間違いありませんからそれ相応の対応すべきと思ってです」
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