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 司祭長ヨアヒムはフラウエン教会の責任者であり、隣国の第三王子でもある国賓エマヌエーレに敬意を払って対応する為に自ら案内係を務める事にしたのだ。  エマヌエーレも急に行っては不敬に当たるかと、昨日のうちにこちらへ向かう旨を共について来た家臣にフラウエン教会に伝言しておいた為だろう、司祭長ヨアヒムはその心遣いを気に入り、柔かにエマヌエーレを教会内へと招く。  その教会は三百年前に建てられた大きく荘厳な建物で、内部に入ると一番目立ったのが大きなステンドグラスだ。  聖典に書かれている一節を描かれているのだが、エステルに似た緑色の髪の女性が白いローブを着て天を仰ぐように祈り、女性を天から祝福する光がさしている構図である。  エマヌエーレはそのステンドグラスに心惹かれ、じっと上を見つめた...まるであのエステル王女の姿を映し取ったかの様な美しさがあったからだ。 「この方は聖典の最初に書かれている預言者、聖マーシャです」  ヨアヒムはエマヌエーレにそう話す。 「預言者?」
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