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キャンパスにはいつも通り大勢の人がいて、しかし今の私には目まぐるしく酔ってしまいそうだった。
「…休むん珍しいやん。」
夏樹は神妙な面持ちで私を待ち構えていた。
苛立っているのだろう、眉間がグンと曇っており、手のひらがパタパタと遊んでいる。
呼び出したのは私。
『うん…急に、ごめん。』
考える前に口が勝手に謝って、頭を床に擦り付ける母を思い出した。
こんな時なのに、あの人の言った「貴女がどこへでも1人でいけるようになった」が身を鳴らす。
それでも、決断はしなくてはならなくて、自分で選ばねばならない。
選ぶことは、何かを捨てること。
決めてしまった私は、もう動くしかなかった。
いつもなら競り合いながら馬鹿を言い合う関係性のなか、私はようやく口を開く。
『私、出てくんだ。』
「え?」
びゅうと2人の身体を風が抜けて、燃え上がった心を冷やしてゆく。
いよいよ本格的に夏が来るのだと思わせる夏嵐に、来週から始まる夏休みを思った。
『だからもう会わない、会えない。』
海もバーベキューも、全部夏樹とするはずだった。
しかしそれらもう、全て叶わぬ未来。
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