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ねえ、舞亜。
僕がもし、君に思いの丈をぶつけてしまったら。眠る君の髪に口づけたこととか、繋いだ指が離れないよう祈ったこととか、そんな馬鹿みたいな色々を──ぶつけてしまったら。
君はどんな顔をするかな。ずっと、僕を天使と信じて、唯一無二の友達としてくれていた君に、こんな想いをぶつけてしまったら。
僕はね、天使なんかじゃないんだ。君の短すぎる命を、きちんと運命通り暗いところへ還す為に、ここにいるんだよ。
だから、ねえ、舞亜。
最後の最後。君の一番そばにいる権利は、僕にあると思わない?
そうしたら、運命通り、眠りに落ちながら死のほとりに足を踏み入れる君の手を取って、ダンスのエスコートでもするみたいに導きながら、最後のさようならの代わりに、好きだって、好きだったって、言ってもいいと思わないかい?
猫が鳴いた。早く君の元へ行けって、急かしている。君の眠りが近い。
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