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「天使さんは、なんでもあげるよって言われたら何が欲しいって答える?」
「え、なにそれ」
天使さんが驚いた声を出すから、私は自分の部屋の絨毯に寝転がりながら、だからね、と続けた。
「たとえば、神様とかサンタさんとか、そういうのから、なんでもあげるよ、何がいい?って言われたらどうするのかなって」
「ううーん、そうだなぁ」
天使さんは唸って、私の投げ出した片手を柔らかく握った。握って、指先でくすぐるように撫でて、また握る。
「僕は、舞亜がしあわせなら、いい」
小さく笑うような穏やかな声で言う天使さんの声が遠い。とろとろと眠りに引き込まれた私の額に、暖かな感触が触れた。
「……おやすみ、舞亜」
うん、おやすみ……。返事が出来たかは、分からなかった。
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