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「ありがとう、舞亜」
「天使さんはいつもあたしのことを考えてくれるでしょ。お礼になるかは分からないけど」
「そんなことないよ。……僕は我が儘だね」
それこそ、そんなことないのに。言いかけたけれど、誰かの足音がして、私ははっとした。咄嗟に寝たふりをする。
お父さんとお母さん、二人分の足音が、部屋の前で止まった。扉が少し開けられたような軋む音がして、後は沈黙が広がる。やがて、扉が閉められ、私もとろとろと眠りについた。
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